錯誤行為。

フロイトのいう錯誤行為について考えている。
(これを考え終えたら勉強する。)
 
この錯誤行為について難しいのは、わざと錯誤行為をする場合である。この場合は、相手の意図が非常に読みづらく、相手もそれを狙っていることも多い。
 
何故この話になるかというと、元彼がわざと錯誤行為をしていたからである。わざとやっているというのは分かるときもあるが、あまりにその回数が多すぎて、すべてが嘘にしか見えなくなり、彼の言うことはほぼ全部デタラメだと思い、何一つ反応せずに、テキトーに聞き流していた時期もあるくらいである。
 
ちなみに、錯誤行為には目的があり、時と場合によるのだが、一つ目は、私を嫉妬させて愛情を確認するため、二つ目は、私の結婚の意図を確認するためである。
 
たとえば、嫉妬させるために、他の女の話をわざと出したり、名前を間違えたりする。しかし、私はその間になんら肉体関係さえもないことは何となく分かるわけである。それだけならいいけれども、彼が何故このような話をするか、その目的までも私は分かっている。だから、嫉妬する気持ちになるはずがなく、そのまま無視をすることになる。
 
次に、結婚の意図を確認するために、彼はあらゆる言葉を使って探ってきたし、あらゆる嘘も使ってきた。当時の私は、この話をすると非常に面倒なことになるのが分かっており、冷静に話せる環境が整っていなかったために、話そのものを反らし続けてきた。そのために、彼は「探る」という行為に出たのである。ところが、この場合も相手の嘘はすぐに分かるし、そこに相手が私の意図を探る目線さえも私は気づくために、何一つ反応をしないという結果に終わり、彼の目的は何一つ達せられずに終わることになる。
 
これは彼の反応の仕方や性格が分かっているから判断できる部分もあるが、まだそこまで知らない相手の場合は、その錯誤行為が意図的なのか否かの判断が非常に難しい。そして、頭が良ければ良いほど、錯誤行為をあたかも本物かのように見せることができる。
 
 
次に、これはあまりに明瞭な例である。
 
私の母は二番目の夫からもらった婚約指輪を失くした。そして、笑って言った。
 
「好きじゃないということね」と。
惜しくも何ともないようである。それならば売って換金した方が良かったのではないかと、今の私なら言うだろう。
 
彼女が言うまでもなく私は彼女のホンネに気づいていた。というか、彼女は夫のことを好きになったことなど一度もなかったと私は思っているが。再婚する際に、私はその傾向は何となく気づいてはいたが、私が彼女の結婚に口出す権利はないと思い、決断は母に委ねた。
 
「本当に結婚していいの?」と母は何度も何度もしつこく私に聞いてきた。あまりにしつこすぎて閉口した。「それは私が決めることではない」と。これは、私への遠慮と本人は言っているが、本人はこの男と結婚したくなかったのである。この本来の意図は、ほぼ間違いなく、私に止めてもらいたかったのである。そうすれば、自分の母に言い訳ができるからである。当時の私は10歳だったので、そこまでは洞察できなかった。今であれば、間違いなく止めるだろう。それは、彼女の本心に反しているからである。
 
これらを見ていて思うのは、「自分のホンネ」に気づく力が非常に重要だということである。自分のホンネに気づけば、比較的正しい判断ができると思う。
 
というのも、彼女は結婚したくもないのに結婚したから、相手の苦悩と寄り添えずに失敗したのである。
 
私も元彼と結婚しようかと思っていた時期があった。それは自分が当時置かれている苦悩から逃れるためであったので、この気持ちのまま結婚したら失敗するだろうなと気づいた。幸い、そこまで話が進まなかったから良かったと思っている。もし、そこまで話が進んでいたら、自分はきっと結婚して、少なくとも今よりは幸せではなかっただろうと思う。