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柔らかな空気。

広島は一度だけ降りたことがある。
無口な上司とふたりで・・・・・(爆笑)
 
二人っきりで車で8時間?くらい? 往復で? 造船会社に行ったんだったかなぁ?
仕事は15分くらいで終わったんだけれども、お客さんが私を見て、なんで私がいるのか、というような不思議そうな表情を一瞬見せた。何故かというと、たぶん輸出入の手続きがクソめんどくさいから、上司が話を聞いて私に伝えるよりも、私が直接聞いてやってくれ〜ということだったのだと思う。
 
本当に無口な人で、二人っきりで8時間も一緒にいるとなると、一体どうなることやら? と思った(まぁ私は沈黙を通じて語る女でもあるけれども)。でも、沈黙の中に意味はないことも多く、ただボーッとしていたら、別の人に「君の沈黙は自然だ!」とえらく感動されたことがある。その人いわく、沈黙には気まずい沈黙とそうでないものがあるけれども、私の沈黙は自然であり、居心地がいいらしい。いや、別にただ黙っているだけなんですけどと思ったけれども、わざわざ他人が感動してくれているのをブチ壊す必要もないので「そっか」と答えた。
 
まぁそれで、話を戻すと、上司は無口だから、きっと人が苦手なんだろうなと思って、私を警戒しすぎたらどうしようって思っていた。朝早かったので、上司の家の近くまでそのまま行った。
 
寒い朝だったので、ホットコーヒーを2つ買っていって、上司の好みのとおりに砂糖2つとミルク1つを入れて、車のカップ置きに置くと、「そこまでしなくてもいいのに」と笑って言ったけれど、ちょっと頬が赤く、嬉しそうだった。狙ったわけではなくて(笑)、単に自分だけコーヒーを飲むのも嫌だし、上司は毎朝出社したらコーヒーを飲む習慣があるから、会社での習慣を車内に適用させた。でも、その柔らかな笑みというのは会社では見られなかったので、少し驚いた。後で気づいたのだけれども、他の人にはあまり心をひらいていないのではないかと思った。それは、この文章を最後まで読めば分かると思う。
 
それで、上司が私と二人っきりのときに、どう反応するかが少し心配だったけれども、無口どころか、ずーーーーーーーっと喋り続けていた。私ではなく、上司が。本当にいろいろな話をしてくれた。娘の話、娘の好きな果物の話、動物の話、六甲山を登るときにはその山の話をしてくれた。少なくとも7時間は話していたから全部は覚えていないけれども、私は楽しかった。
 
「ここはね、水浸しになって通れなくなったことがあってね」と言って、そのときに起こった悲惨な状況を私に説明してくれる。人が通るくらいの道もなかったこと、車が渋滞して混乱していたこと。上司は無口過ぎて、言葉が足りずに人にものを伝えるのが苦手だと噂されていたけれども、そのときに彼が説明してくれた情景は、私の脳裏にまざまざと浮かんできて、少なくともそのときは、彼はしっかりと情景を言葉で描写していた。
 
彼は造船所を案内してくれた。企業は情報保護にうるさいからあまり書かないけれども、耳鳴りがするくらいにうるさい現場で、うるさいから、耳を壊さないようにどういった対処をするのだとか、うちが売っている製品はここでどういう風に使われているのだとか、お客さんがよく買っていたバカでかい鉄の塊は、あそこにあるんだと、上司が指をさした先を見ると、そこには海の上だった。あまりに大きいから海の上にあるんだよね。
 
帰りは、地元のものが売っているところに連れて行ってくれた。見たことのないものばかりがあるもんだから、嬉しくってアチコチ見まわるわたし。時間を使いすぎかな? と思うくらいで、上司に時間は大丈夫かと確認しにいったら「好きなだけ見ておいで」と笑って言って、ずっと待っていてくれた。
 
私は瀬戸内海付近のオリーブが使われたお塩とか、他にも買ったと思う。
 
「果物屋に寄ろう」と上司が言った。そこで大きなみかんを買っていた。「娘が好きなんだよ」この皮をお風呂に浮かべるんだ、と、娘の顔を幸せそうに思い浮かべているような表情をしていた。パパになるときは、会社では決して見せない優しい表情を見せるのだなぁと思った。
 
行きから帰りまでずーっと喋りっぱなしだった上司だったので、これで打ち解けたなぁと思い、事務所に戻ったあと、上司に笑顔で話しかけたら、そっけない態度をされた。そのときに、ああ、この人は会社の他の人には心をひらいていないというか、自分の心の内を見せたくはないんだなぁ、喋りたくないんだなぁと、そのとき気づいたから、私も周りに人がいるときはあまり彼に話させないようにした。
 
AIUに入学することが突然決まったときも「君、突然困るよ」と言いながらも、私がその二週間後に関西を経てるようにしっかりと準備をしてくださった。
 
入寮日の前日、送別会をしてくれた。そのとき上司が「卒業したらまた戻ってきたらいいよ」とみんなの前で言った。社長が「戻ってくるくらいならそもそも入学なんかせんだろ」とツッコンでいたが(笑)それでも表情を変えずにそう言った。そのようなことを言う性格ではなかったので、私も驚いたんだけれども、他の人が「あれは、冗談っぽく言っているけど、本気だからね」と言っていた。
 
2月には関西に行きたいなぁ。串かつやタコ焼き食べに行きたいなぁと思った。