ウザイ姉から妹へ。

「ウザい」

「お姉ちゃんには関係ない。口出すな」

怒られたら、妹が口にする言葉だ。

私としては、黙っておくことは簡単。というか、楽。でも、言うべきことは言わなければならない。

「何も言わなければ、あなたは一生成長しないということだよ?」

毅然とした態度で私は答える。妹は、もの凄い勢いで文句を言ってくるけれど、子どもが自分を守るために言うことなので、それくらいでは動じない。

「うるさい!黙れ!」と妹はブチ切れる。

「私がうるさいのではなく、あなたが聞く耳を持たないからでしょう」

私も反抗期があったし、特に家族に言われるのは嫌だから気持ちは分かる。まぁ、まだ彼女が子どもだということだ。

あの年齢でこうだというのは本当に子どもだと思うが、これは親のせいである。でも、親は変えられないので、私は親に詳細を指摘をするつもりはない。しかし、教育者としての自覚を持ってもらいたいと思ったため、「妹が人間的な成熟が見られないのは、両親のせいである」と母に言った。彼女の父親は教育に関与していないのでイチイチ伝えるつもりはない。

私は子どもでも一人の大人として扱おうと思ってはいるけれども、相手を子どもだとみなして扱う必要もある。

それはそうと、聞く耳を持たないということは本当に問題である。他者の意見に耳を傾け、それを取り入れてこそ、成長ができるからだ。自分の視点では絶対に見えないこと、気づかないこと、分からないことがある。

「うるさい!わかってる!」と怒鳴り返してきても、実はちゃんとこちらの話をしっかりと聞いていて、それを自分の行動に反映させる人もいる。

妹は、それができたり、できなかったり。ちゃんと反省することもある。私は、様々なやり方を試みる。妹に何も言わないこともあれば、ほのめかしをしたり、褒めたり、様々な言葉、態度、トーンを使って、そして相手の反応を見ながら、どの方法が相手に一番届くのかを模索する。また、相手に厳しく言えるだけ、自分がしっかりとしていないと相手はこちらの話を聞かないので、日々の自分の行動も大切である。

ただ、相手が攻撃してくると、こちらは対話ができなくなる。でも、大事なことはいくつか伝えておいた。

彼女の気持ちが落ち着いているとき、
人の話を聞きなさい。と言う代わりに、こう言った。

「お姉ちゃんにだと言いづらいこともあるだろうと思う。だから、自分が信頼できる、心を開けると思う人に相談して、アドバイスを貰うといいよ。どんなに長く生きても、人間は完全じゃない。自分の視点には限界がある。だから、他の人からアドバイスをもらうんだよ。」

これは、人の話を聞き、意見を取り入れるようにという意味合いを持つ。

「辛いことがあったり、ママと喧嘩したら、いつでもお姉ちゃんに言っておいで。いつでも貴女の味方だからね」

もちろん、私はずっとその覚悟を持っているし、妹のために大学入学を諦めてもいいと思っていたこともある(今は入学したので事情が違うが)。

だから、これは本心である。でも、これを言ったのは戦略的な意味合いがある。それは、私がそれまで妹に言った言葉を相手の心に届けるためである。安心感や信頼感を相手が感じていれば、こちらの言うことに重みが出るからだ。

妹は、目を閉じていて、何の反応もしなかった。眠たそうなフリをしていたが、恐らく少しくらいは話は聞いているだろうと思った。翌日、お姉ちゃんに甘えてきたので、ちょっとくらいは届いたかな?(笑)

話の意味が分かるのと、それを実行に移せるのとでは次元が違うので、妹が私の言葉をどう噛み砕いて、どこまで自分の人生に反映させるかは分からない。でも、私の言葉を受け取るのも拒否をするのも妹が選択すること。

別に成長するからいいというわけでもないしね。どうせ、社会に出たら揉まれて嫌な思いをしながら成長せざるを得ないのだからなんとかなるでしょう。