オモチャ箱の中であそぶ。

幸せなひととき。
オモチャ箱のような古書店「ブックパサージュ」にて。
 
 
迷路というか、ブロックが複雑に組み合わさったような作りの建物の中に、整然とかつ遊びゴコロ満載に書物がたくさん並べられている。
 
秘密基地のように壁に囲われた場所に入って、子どもが座るくらいに小さな椅子に座る。とうぜん目線が低くなるのだが、その目線に様々な書物が目に入る。読んでも読んでも好奇心が尽きない。
 
文学に詳しい友だちとLINEで情報交換をしながら、書物を選定してゆく。
 
「ここでしか買えない書物が欲しい」と思った。
 
もちろん、前提にあるのは「私の感性に響いてくる書物」。手当たり次第、いくつもいくつも書物をひらく。様々な箇所を開いて、読み進めながら「自分の感性の動き」を眺めてゆく。
 
胸がときめいたら、買うかどうかの決断をする。
 
私は特定の家を持たないので、紙の書物を持つと荷物になるので、電子書籍版がないか調べる。電子書籍版があれば、本のサンプルを次々と端末に入れてゆく。
 
次にチェックするのは、新版が出ているかどうかである。「心理療法論考」というものは、学術論文や実証データらしきものも入った良書であったが、さらに新版が出ていることを知ったので、購入することは保留にし、内容が本当に読書時間に見合うだけの価値があるかどうかを見極める。もちろん、ここで言う価値というのは自分にとっての価値である。
 
ザクッと読んだだけであったが、人間が陥りがちな問題を取り扱っていた。たとえば、家庭内暴力などである。このような問題というのは、原因の特定が難しく、下手に特定してしまえば、間違った対処方法を施しかねない。また、この問題を解決する手法も、良かれと思ってやったものが悪い方向に働いたり、意外な言動がいい方法へ向かわせることもある。そのため、信頼のおける研究者における記述というが非常に重要になってくる。そのため、このような事例が載った同書籍が非常に貴重なものであると考えた。
 
ちなみに、今、新版を確認したら、なんと時代に合わなくなった章を削除したようである。これではいけない。書店にあった書物が欲しいと思うので、今日行き損ねた水族館に行きがてら、購入してこようと思う。